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政治参加の動機づけ(論文紹介)

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 国民の意思の上に構築される民主主義的国家理論は、国家意思の共同決定に「参加」する(teilnehmen)ことを個人にとって有意味で興味深く思わせる動機づけを前提するが、こうした動機づけは民主主義理論の関心事ではない。(日比野勤「「市民」と「公論」」『憲法学の展望:小林直樹先生古稀祝賀』(有斐閣・1991年)254頁)

 

 ドイツの政治学者ヴィルヘルム・ヘンニスの所説を手掛かりとして論じられる日比野教授の上記論文は、政治教育について考える上でも、非常に示唆に富むものである。

 

 今日の日本において、政治参加の動機づけをどのように活性化していけばよいのか。この問いに答えるためには、民主主義国家という国家形態が如何なる人間学的諸前提の上に成り立つのか、また今日の民主政の下でそうした人間学的諸前提が本当に成り立つのかについて、一旦大きく引き下がってじっくり考えてみる必要があるだろう。